実際にソシャゲを色々遊んでみたり*1、ソシャゲの裏側(ゲーム開発およびシステム運用に関するなんやかんや)について調べた結果、
ソシャゲについては、ゲームジャンルを問わず、微課金で、楽しむ*2コツがつかめた
ので、これからソシャゲを始める誰かや、ソシャゲで遊びたいのに行き詰まっている誰か、ソシャゲを楽しみたいのに気づいたら振り回されている誰か、の役に立つかもしれないと思い、ソシャゲを意識低く遊ぶためのノウハウ*3をまとめました。
意識を低く保つ遊び方
基本指針:初動で一気に遊び倒す
時間を大切にしたい(時間効率を最大にしたい)のであれば、まず、3日程度のまとまった時間を確保するのが良いです。
その期間に、一気に実装済みのメインストーリーをクリアし、エンドコンテンツまで到達(短期集中攻略)します。以下では、その際の具体的な手順をまとめています。
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一見、無茶苦茶なことを言っているように思われそうですが、こうすることで、以後、意図しないキャラの育成などの「作業」で膨大な時間を浪費することを防ぎ*4、自分が遊びたいと思った時に純粋なゲームプレイのみできるようになります。
1. まずは素でゲームを楽しむ
最初のプレイは、深く考えずに気のむくままにストーリーを楽しむ。このときは、ガチャを回したければ、回せるだけ回してOK。
そうこうしていると、ある程度のところでゲーム進行が行き詰まる*5。
この段階まできたときに、ゲームシステムについて調べ、何が原因で進行に詰まったかを把握する。*6
2. リセマラを敢行する
攻略情報や5chなどを参考に、最速攻略組が『強い』とみなしているキャラ/アイテム*7が手に入るまでリセマラする。
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『ゲームにかけた時間が…』と思うかもしれません。が、実際やってみると分かることなのですが、2周目以降は既に見たことあるものをスキップすると、ゲーム進行が驚くほど早く進みます。*10
3. ゲーム内通貨とリアルマネーとを区別する
ゲーム内通貨で入手可能なアイテムと、リアルマネーでのみ入手可能なアイテムと、を意識的に選別する。
ゲーム内通貨で入手可能なアイテムについては、メインストーリーをクリアする頃、遅くともエンドコンテンツ到達時には余る*11ので、ガンガン使ってゲーム進行を加速させる。
4. ガチャは最低限に抑え、スタミナに全振りする
リセマラで強キャラ/アイテムを手にした後は、ガチャで、ゲーム進行にどうしても必要なアイテムを必要最低数だけ揃える。
次に、揃えたキャラ/アイテムを、低レア含めてひととおり、限界までレベルアップ(育成)する。
『ガチャで高レアが出たらこれは必要ない…』と考えるのは時間の無駄*12なので、配布された石でガチャは回さずにスタミナに変換して、手持ちのキャラ/アイテムのレベルを上げ切ることに注力する。
このとき、時間あたり、もしくは、スタミナあたりの育成効率が最大となるように調査し、注意する。*13
5. スターターパック的なものを買う
ゲーム内通貨だけでの育成では行き詰まってくる場合があるので、リアルマネーを投下する。
リアルマネーでのみ入手可能なアイテムを割安にまとめられたものが、スターターパックとして販売されている。
1点だけ、スターターパックの中には、割安とは言い難いものが混じっていることがあるので注意する。
6. メインストーリーをクリアする
上記手順で育成しながら、メインストーリーを進めていくと、必ずメインストーリーをクリアできます。*14
なぜこの手順で進めるとメインストーリーで詰まることがないのかについては、説明し始めると長くなるので省略しますが、ざっくり言ってしまえば、この手順の要点は、
『無課金を含めた、アクティブユーザーの育成度合いの中央値』や、『ビジネス的にボリュームゾーンとなる課金具合の、課金ユーザーの育成度合いの中央値』を越えるスピードで育成することにあります。
なぜ、これらのユーザー層を育成の指標としているかと言うと、ソシャゲというビジネス上の制約から、『これらのユーザー層はメインストーリーをクリアできる*15必要がある』ためです。
加えて、コンシューマゲーム以上に、ソシャゲにおいてはプレイヤースキルの有無でクリアの成否が大きく分かれてはならない、という枷があるため、同程度以上に育成すれば必ずクリアできるような仕組みが(明示的にか暗にかはゲームによりますが)組み込まれています。
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ここまで来ると、しばらくの間、好きなことを好きにできるくらいのゲーム内リソースが余っているので、
あとは、ガチャを好きに回すなり、エンドコンテンツをやり込むなり、楽しいと思うことをすると良いかなと思います。
ソシャゲの裏側に関するなんやかんや(参考資料)
以下では、ソシャゲにおいてユーザーに課金を促すために研究・開発されてきた仕組みを総称して『心理的トリック』と称しています。*16
- 元ソーシャルゲーム開発者が語る、ガチャの功罪とは──「繊細に綿密に作ったゲームが、ガチャの快感になぎ倒されていく」
- 元ソシャゲ開発者による、ガチャをはじめソシャゲ全般の心理的トリックの解説
- ソーシャルゲームの「離脱」を数値で分析する|りゅか@ソシャゲ垢|note
- 心理的トリックの例と、その心理的トリックの実装・検証方法についての解説
- 【インタビュー】「UXポリシーに基づいたパラメータ設計を」…Precious Analytics米元氏に訊く 長期運営・売上維持のレベルデザインとは | Social Game Info
- 心理的トリックの1つ「レベルデザイン」についての説明
- 「レベルを上げて物理で殴る」の素晴らしさをゲームデザイナー視点で語ろう。ドラクエで学ぶ「RPGメカニクス」の3大メリット【ゲームの話を言語化したい:第四回】
- コンシューマゲームの多くは、レベルを上げれば(=単純作業を繰り返せば)誰でもクリアできるように設計されている、という話。この設計方針の根幹は、ソシャゲにも通じている。
- ソシャゲ分析講座 基本編(その4):「スペンド率」を理解する - Real Analytics (リアルアナリティクス)
- 心理的トリックの1つ「イベント」の解説
- ソーシャルゲームのイベント報酬を「ガチャの価値」を基準に考えてみる
- 心理的トリックの1つ「イベント」と「ガチャ」の関係性の解説。
- プレイヤーの本能を刺激する、ゲームにおけるアイテム収集の効果 | AppLovin
- 心理的トリックの例
- なぜ人はゲームにハマるのか【前編】モチベーション(SBCr Online)
- なぜ人はゲームにハマるのか【後編】フロー理論(SBCr Online)
- 心理的トリックの例。
- Vol.5 マジックザギャザリングから学ぶ「メタゲーム」 | しなくてもいいことしかすることがないーヒトとゲーム | あさひてらす
- メタゲーム(ゲーム外ゲーム)の話
- ゲームデザイナーの仕事(2)〜ゲームプレイとゲームメカニクス〜|下田賢佑|note
- ゲームシステムとして、メタゲーム(ゲーム外ゲーム)まで意図的に設計されている、という話
- 手塚武~続KPI ソシャゲがどれもこれも似てしまう理由 | 日経クロステック(xTECH)
- ソシャゲ特有の構造上の問題についての解説
- ソシャゲが楽しくない人の「なんでなん」の気持ち - Chienomi
- ソシャゲ特有の構造上の問題点がユーザー目線で具体的に列挙されている
- ゲームデザインを改善/批評するための時間構造モデル「ワンダールクス」|じーくどらむす|note
- コンシューマゲームの話だけど、ソシャゲも「情報」「反応」「遊戯」「進行」の4つのレイヤーに分けて捉えると色々見えてくる(考察のための参考資料)
謝辞
この記事は、FGOで遊ぶキッカケを作って頂いた シロクマ先生に捧げます。下記記事は、FGOを始めた当初にとても役に立ちました。
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今あらためて振り返ってみると、FGOの序盤、特に第1部後半に限っては上記手順が通用しなかったなぁと。
編成コストの制限から低レアキャラにも意味がある、育成自体もストーリー進行に合わせて時間をかけて行う必要がある、課金でゲーム進行がそれほど加速しない、など、どこかコンシューマゲーム的とも言える特殊な作りだった(≒ゲーム性が高かった)ように思います。
今は、まぁ…、ふつうのソシャゲになってしまったような。
初動で一気に遊び倒す方法の副産物
ゲーム開始から2~3日でソシャゲのメインストーリーをクリアするようになって、いろいろ得たものがあった。以下は、個人的メモ。
ガチャを楽しめる
今後実装されるストーリーも最後までクリアできるに違いない、という心理的安全性が担保されるので、キャラ/アイテムの性能を求める必要がなくなり、
「特定のキャラがほしいときに、そのキャラを手に入れるためにガチャを回す」
というシンプルな遊び方に帰結した。
これって、リアルガチャそのものやん、という気づきがあった。
デイリークエストから開放される
1年近く放置してもメインストーリーの進行には支障は出ない、という心理的安全性が担保されるので、
「面白くないと思ったら、好きなだけ放置できる」&「遊びたいと思ったときには、好きなだけ遊べる」
ソシャゲはデイリークエストの消化に追われる羽目になりがちなのだけど、放置OKとなった途端、ゲーム都合で時間を奪われることがなくなって良い。
メタゲームの面白さと廃課金の関係性
ソシャゲのゲーム性には、コアゲーム(いわゆるゲーム自体の面白さ)とメタゲーム(『ゲームのルールを介して、他のプレイヤーとゲーム外でリアルに競い合う』というゲーム)の2つがあるようなのだけど、
「意識的に廃課金する人は、メタゲームを楽しんでいる」
っぽいな、という気づきがあった。
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廃課金で『トップ集団で独走する成功体験(快感)』を得るために、数十万円の出費をする、というのは、合理的なのでは、とさえ思った。
趣味にせよ仕事にせよ、社会に出てからリアルで何かの日本一になろうとすれば、『何十年単位の努力に、何百~何千万単位の出費』が要求されることもザラだろう。それを思うと、幾ばくかのお金のみで首位を奪取可能な『ソシャゲを介したメタゲーム』は、魅力的な戦いの場に思えた。
この場合、コアゲームのゲーム性はフェアでさえあれば何でも良いので、ソシャゲ界7不思議*17の1つ『クソゲーに廃課金する』の理由の1つには、こんなところがあるのではと思った。
※ 某ゲームのPvPコンテンツで20位くらいまで進めてみて、上位層をふんわり調べてみたら『会社役員 or それに類する自営業者ばかりじゃん!!』となった。狂気がかったやりこみ具合(≒集中力)や、ゲーム進行の時間効率をつきつめられる頭脳や、資金力、などなど色々な点で合点がいき納得した。
ソシャゲのつくりに関する考察
ソシャゲとは、「店頭で100円で回せるガチャガチャ」に、多種多様な無償・有償のおまけ(コンテンツ)がついている、と考えるとしっくりきた。
ユーザーを情報(コンテンツ)の海で溺れさせて、「自分が何がほしいのか、何を求めているのか」をわからなく(=認知能力を低下)させることで、ガチャを回させている
といえなくもないかもしれない。(てきとう)
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ソシャゲのゲーム性の低さという点に関しては、
メインストーリーの進行の合間合間に、エンドコンテンツ(コンシューマゲームにおけるクリア後のやりこみ要素)を挟んでいる、と考えると納得がいった。
もともとコンシューマゲームでエンドコンテンツまでやり込むタイプの人だと、ソシャゲの仕組みもさほど苦痛でなくハマりやすい可能性があるのかなと思う。(てきとう)
コンシューマとソシャゲのいいとこ取りはあり得るのか
月額課金制で ソーシャル要素(≒リアルタイム性)のあるコンシューマゲーム、
というのが、トータルで、つまりコアゲームとしてもメタゲームとしても面白くできるポテンシャルが高いのでは、と思って色々ゲームを調べていたら、
FF14がまさにそんな感じで、月間売上がソシャゲと比べてさらに桁違いに多かったので、この仮説があってるような気がしている。
というか、さらに調べていたら、さらに昔に、RO(ラグナロクオンライン)の中の人が、『儲けようと思ったら、ユーザーに金銭的負担を過度にかけないのが重要』と述べていて、なーるほど、と納得するなど。
*1:これまでにいくつかのソシャゲをプレイしてきて、そのうち3作品についてはメインストーリーをクリアしてエンドコンテンツに到達し、今もインストールした状態です。いずれも数千円~ 程度の微課金勢です。
*2:ここでの「楽しむ」とは、『楽しいと思えるうちに、メインストーリーのクリア ~ エンドコンテンツ到達、あたりまでをプレイする』ことを指しています。
*3:ノウハウなのか、はちょっと怪しい。再現性があるので、たぶん大丈夫だと思うのだけど、単なる経験則かもしれない。
*4:3日分のまとまった時間をとるのが難しい場合は、1~2週間くらいを目安にすると良いかもしれないです。攻略期間の目安としては、『イベント』が定期的に発生する前まで、です。
*5:てきとうに遊ぶと詰まるようにできてている、と言い換えても良い。
*6:自分が試した範囲では、問題は『ガチャで高レアが引けていない』ことと、『育成手順が非効率だった』こと、に集約される。
*7:実際には、その後のゲームバランスの調整や、そもそも攻略組が十分にゲームシステムを理解していないなどの理由で必ずしも強くなかったりするのだけど、ここでの判断軸は、『今強い』かどうかだけなので問題ない。
*8:ふつうに課金してまれに手に入る程度
*9:限凸前提、のような言説が巷には溢れているのだけど、単なるマウンティングなので無視して良い。限凸前提にするとビジネスとして成立しないので、実際にはそんなソシャゲは存在しない。
*10:ソシャゲのゲーム性は驚くほど低い…、ということの裏返しかもしれない
*11:余るように作られている、と言い換えても良い。
*12:出るか出ないかわからないガチャを回しているより、レベルを上げ切るほうが早い上に、メインストーリークリアまで進める頃には配布石が大量に余っている。クリア後に好きなだけ回すことを推奨。
*13:最初のうちは、スタミナあたりの効率が、ある程度育成が進んでくると、時間あたりの効率が重要になってくる。(経験則)
*14:検証のため、いくつかソシャゲで遊んでみましたが、今の所、これでメインストーリーが進めなかったソシャゲはないです。
*15:もしくは、あと少しの課金でクリアできる
*16:ユーザーの心理操作を目的としたトリック、という趣があるため。
*17:今、命名した