プレイ時間: 70時間
Expedition33、諸行無常って感じだった。最高すぎた…。
JRPGというか日本のアニメ、ゲームのカルチャーを見事なまでに咀嚼して、フランス流に解釈、現代の技術や思想で再構築した傑作という印象を受けた。
以下ネタバレありでの感想です
ラスト、2つあるどちらのエンドを選んでも単純なハッピーエンドではないのが味わい深かった。
制作者の意図としては、「(直前のマエルの言動から、2つの家族が助かる道があるのでは?と)淡い期待をプレイヤーに抱かせてマエルエンドに誘導、エンディングの後味の悪さを存分に感じてもらって、積極的にヴェルソエンドを見てもらう」という流れを想定しているのかなと思った。
マエルエンドを見た直後は、そうきたか、というエンディングで、なんだかんだハッピーエンドを予想していた頭お花畑なところをガツンと殴られた感じだった。
各エンド噛み締めてみると、ヴェルソエンドとても良き…。
「(きちんと意識して)犠牲を払った上で、感情に身を委ね今を謳歌する」
なかなか日本のゲームでは出てこなさそうなシナリオに感動した。
と思ったんだけど、これ、ニーアレプリカント以前のヨコオタロウがやってた、物語を進めるに従い「プレイヤーが認識していた世界の外側に世界が広がる」「喪失の痛みをプレイヤー自身に味わってもらう」、というのと本質的には同じなのではと思った。
以下、ネタバレ全開での感想。
マエルエンド
仲間たちは蘇り、愛する人たちと絵の世界で生きていく……という一見ハッピーなエンドだけど、
現実のアリシアの人生を捨て、消滅を望むヴェルソを無理やり生かし続けるという狂気。
マエル自身も徐々に絵の具に蝕まれていくような描写は、もはやホラー。
キャラクターの中では、シエルが好きだったのだけど、
シエルと親密度MAXにしてると、「夫を蘇えらせることができるとしても(蘇ったことでヴェルソが苦しむ姿を見てきたので)、その苦しみを夫に与えるようなことは安易にはできない」って言ってただけに、マエルの世界の中で夫婦で生かされてるの、ほんとにそれはシエルの意思なのか?って感じだったし、
なんていうか、消滅を望んでいたヴェルソを生かし続けるのも、しかり、すべてのルミエールの民がマエルの操り人形って感じで、
生きてる感が希薄で、一緒にした仲間とは違うように見えて、後味が悪すぎた…。
結局マエルが現実逃避してるだけで、仲間たちの意思や尊厳に配慮しているとは言えず、単なるマエルの自己保身とエゴイズムがあるだけで、そこに愛はあるのか?って。みせかけの優しさなんじゃないこれ?
こと、「愛のある人生」という銘打たれたヴェルソエンドを見た後だと強く感じた。
思うだけど、マエルって、結局、中身のない 虚無 だと思うんよね…。見せかけの優しさに捕らわれているというか。
ヴェルソエンド
つらい選択なんだけど、苦楽を共にしてきた仲間たちの死という事実を尊重し、キャンバスを終わらせるヴェルソエンドのほうが、(操り人形として生かし、キャンバスに縛り続けることよりも)より深く仲間たちを尊重しているように思えた。
キャンバス(虚構の世界)から抜け出して地に足をつけて前を向いて生きていけ、っていう、エヴァンゲリオンの映画のラストにも通じるものを感じた。
つらい現実を受け入れて、アリシアや家族が、地に足つけて前を進む感じが良かった。
見終えて、ふと、「愛のある人生」っていうタイトルから、
逆説に、マエルエンドは実際には現実逃避にすぎず「愛がない人生」だと言ってるようで、そこがまた趣深かった。
悲しみから目を背けず、有限である命や世界をそのまま慈しむ姿勢こそが、本当の「愛のある人生」として美しいと感じた。侘び寂の精神に通じるものを感じた。「愛とは何か」「喪失とどう向き合うか」という哲学的な問いをユーザーに投げかけてくる感じが最高of最高。
最後に
作品のあらゆる要素全体を通じてClair Obscur のタイトルの通り、影(死や悲哀)を受け入れるからこそ、光(生や未来)が際立つ、スト-リーを構成していて見事としか言いようがない完成度だった。
良かったとしか言いようがない。
探索要素もたくさん残してるんだけど、ヴェルソエンドで、これでもかってくらい製作者からのメッセージを受け取ってしまったので、自分にとってのExpedition33の旅はここでおしまいである。綺麗な余韻を残して終わるのがよきかな。
・・・
蛇足だけど、あらゆるシーンが絵画的で美しく(めちゃくちゃ狙って、そうしてるんだと思う)、探索とフォトモードが楽しすぎて、プレイ時間の半分以上の時間を使ってる気がする(ナニヤッテンダオマエ
