- 作者:山本英夫
- 発売日: 2015/05/15
- メディア: Kindle版
映画の感想。綾野剛が良い演技だなぁと。作品と良くあっていたと思う。作品の雰囲気も、原作がこんな感じだった気がするし、個人的な好き嫌いで言うと好きじゃないけど、良い再現だったんじゃなかろうか。
まぁそれはそうと、タイトルを見てSFかと思ってみたら、超能力というか異能者が活躍する作品だった。
しばらく見ていたら、原作を昔に読んだことがあるのを思い出して、まぁいいかという気分になった。(話はさっぱり思い出せなかったけど)
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雑にまとめると、『他人のトラウマを視覚化する能力を得たホームレスがなんやかんやに巻き込まれていく(というか、巻き込まれ"た"真相に迫っていく)』話。
振り返ってみると、ミステリー作品として良いシナリオだったと思うのだけど…
グロい表現が点在しており、すべて早送りした。原作がエログロをフックにして話の緩急をつけるタイプの作品だと思うのだけど、それをそのまま映画に持ってくる必要はなかったのじゃないかなぁ。というのが率直な感想。なにより、飛ばしてみたところで話の理解には困らなかった。閑話休題。
なんというか、あっけない終わり方だった。なんとなく話の流れを理解しはじめて、これは『他人のトラウマと向き合って解決することで、自分自身のトラウマをも克服していく話かなぁ』と思っていたらサクッと終了。最後まで理解が追いつかなかった。
登場人物は数えるほどなのだけど、それぞれそれなりに深堀りしようとした結果、映画1本で描くには尺が足りてなかった印象を受けた。主人公を軸にして『他者を通じて自らのトラウマを克服していく物語』を表に出して、周りの登場人物は深堀りしないくらいの方が理解が追いつけた気がする。
しかしそれはそうと、異様な能力や世界観の作品ではあるけど、その実は、ごく一般的なテーマだったのだなぁ、と妙な気分になった。
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見終えて、釈然としなかったので、他の人のレビュー記事を色々眺めてみたところ、
原作を既読の方の感想が参考になった。
- 主人公は、『主人公が抱えているのと同じトラウマを持っている他人』に対してのみ、 トラウマを映像として見ることができる
らしい。思い返してみると、たしかにそうだった。
これは作中で説明が欲しかった気がする。盛大なネタバレにはなるのだけど、この条件があるとないとでは見え方が違いすぎる気がする。
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振り返ってみると、どの登場人物も奥行きがあって魅力的で良かったのに、観ているときには全然良さが感じられなかったのは、ただただ、尺が足りてないということかもしんない。
原作を読んでいると、映画中での説明不足感を補えるはずなので、原作を読んでおくほうが良いのかなぁ。ただ、そうするとミステリーとしての楽しみが損なわれる…、と思ったら、この作品後半はオリジナル展開らしい。原作を読んでいることを前提とした作品と思っておくと良いのかもしらん。
(『原作読んでおくとより楽しめます』みたいな感じで、ふんわりとでも、原作既読を前提に作ったことを意思表示してくれると助かるのだけどなぁ。)