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ヴァイオレット・エヴァーガーデン 原作小説、サントラ

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原作小説とサントラの感想。ネタバレあり。

小説

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ヴァイオレット・エヴァーガーデンの小説 上巻だけ、どこも在庫切れで相場暴騰という悪夢を真っ昼間から見たのだけど、公式通販の在庫復活という奇跡を目の当たりにし感激、合わせて絵馬も購入、ついに手元に届き、これは1週間頑張ったご褒美ってやつかッー!という気分になったのだけど、冷静に考えて、なぜ絵馬を買ったし自分…。

上巻

KAエスマ文庫 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上巻

KAエスマ文庫 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 上巻

  • 作者:暁 佳奈
  • 出版社/メーカー: 京都アニメーション
  • 発売日: 2015
  • メディア: 文庫

1話目

1話目にオスカーのエピソード。パンチ力がハンパない。対して、アニメは、オスカーの話に至るまで時間をかけてヴァイオレットの成長を描いていて、どっちも最高である。

情景描写がきわめて細かく、映像が容易に思い浮かぶ。クライマックスでは一転して、情景描写がなくなり、心情描写が前面に出てくる。このコントラストが実に鮮やか。 ふだん小説読まないので、見慣れない文章のスタイルを新鮮に感じた。

2話目

アンのエピソード。アニメでは屈指の良エピソードだったオスカーとアンの話が最初にくるとか、、、おいおいマジかよという感じ。

VPで言うなら、戦闘開始早々にニーべルンヴァレスティとエーテルストライク打ち込むような弩級の展開なのだけど、これ、あと、どうやって繋げてるんだ、、、。

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3話目

エイダンのエピソード。このエピソード、アニメでも急にラノベ感溢れる無双シーンが挿入されるので、他のエピソードに比べ、苦手なのだけど、、、

小説での無双度合い、輪をかけておかしいやん、、、絵になるんだけど。 みたいな気持ちに一瞬なったけど、

やはり良い話だった。良い話だった、、、(涙で前が見えない)

小説では各エピソードごとの主要登場人物の視点で物語が描かれる(主人公であるヴァイオレットの描写は、登場人物の目を通しての描写にとどまる)のに対して、アニメはヴァイオレットの一人称視点。

アニメ化にあたり単に視点を切り替えるだけだと、作品としては淡白になるので主題がブレないように最大限注意を払いつつ、話の流れを再構成して、オリジナル要素を混ぜながらストーリーを補強したのだなぁと思った。

4話目

リオンのエピソード。アニメではヴァイオレットの成長に関わる要素が希薄に感じられてストーリーの構成上、違和感があったのだけど、 改めて文字で読んでみて、夜空の星みたいに、小さくてもたしかに輝いてるようなエピソードだなと。違和感は氷解した。

5話目

囚人のエピソード。小説のみの話。 映像化されなかったことに納得のエピソードだった。 個人的にはこの手の重い話は好みではある。

上巻を読み終えて

原作小説を読むほどに、アニメの構成の巧みさ、贅肉を削ぎ落とした無駄のなさに舌を巻くばかり。 改めて確認したら、シリーズ構成が、吉田玲子女氏だった。 映画聲の形、弱ペダ、けいおんや、ガルパン、SHIROBAKO、など多数の良作を遍歴された名脚本家としての手腕が遺憾なく発揮されたのだなぁと。

上巻読了。徐々に血生臭い雰囲気が立ち込めてきてからの過去編突入。 原作は原作で巧みな構成だなぁ。アニメが正攻法のとすると、原作は搦め手ぽさがある。 小説、アニメに比べ荒削り感がところどころ垣間見られるけど、グイグイ引き込んでくるパワーがある。

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しばし放心。

下巻

1話目

原作自体が(アニメ版を見てた人にとって)盛大なネタバレから始まる。というより、原作とアニメで視点が違う、という感じ。 原作見た後だと、特にアニメ序盤における物語の展開の意味合いが大きく変わってくる。アニメ見返す楽しみが増えた。エウレカ感がすごい。

エピソードに関しては、これでもかってくらい、涙腺を緩ませてくる(クライマックスでもなんでもないところでまで!)。 ホッジンズやギルベルトの心情を細かく描写するのマジ反則。

小説は、世界観の表現という点ではとても緻密で優れた情景描写が多い反面、ストーリーの構成上の必要性には疑問符が残ったりする。アニメでは、12話に収まるよう贅肉を削り落としたのだなぁと感心してもしたりない。原作の豊富な情景描写あってこその映像化でもあるし、甲乙つけ難い。

残り1話の段階で

下巻ラストエピソード前まで読了。

現状微妙な気分。 主人公の心情1つ説明するのに、こんなに大がかりな舞台装置が必要なのか、という感想。例えるなら、コンビニ行くのに戦車使うのかよ、という気分。 主人公を第三者視点で説明するという視点設定のデメリットだろうか。 ラストエピソードに期待。

ストレートに、ヴァイオレット視点で物語を再構成したアニメ版スタッフ、神采配なのではという想いを強くした。

下巻を読み終えて

下巻読了。 途中のなんとも言えない感を吹き飛ばす、最高のラストだった。

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はー。尊い。

外伝

KAエスマ文庫 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝

KAエスマ文庫 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 京都アニメーション
  • メディア:

外伝的なストーリー少々と、実質的に下巻の続きといった構成。 文章自体、上下巻よりも格段にこなれていて、すんなり楽しめた。

サントラを聴きながら読んでいたら、ラストのクライマックスで、Sincerelyがシンクロして流れて最高だった。感無量。

9月の外伝の映画、外伝の中で一番外伝らしい話なのがなんとも。どんな風に映像化されるか楽しみではある。

→ 最高でした

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サントラ

1曲目『theme of violet garden』の冒頭と終盤、タイプ音で旋律を奏でる箇所の直前や、三曲目『A Simple Mission』全編に渡って、ノイジーにカリカリいう音(好意的に解釈すれば万年筆で紙を引っ掻くような音)が入ってて耳障りなのだけど、指摘してる人が見当たらない。 って言うことはリッピングに失敗した、、のか、、、

と思いながら調べてたら、作ルロイアンダーソン「タイプライター」という曲があることを知った。


ルロイ・アンダーソン 「タイプライター」LEROY ANDERSON THE TYPEWRITER 長野市民吹奏楽団 第44回定期演奏会

ヴァイオレットエヴァーガーデンとは関係ないけど、この曲も面白い。曲に散りばめられた作曲者の意図を辿っていくと、作品の中に止まらず知らない世界が垣間見れるなんて素晴らし過ぎる◎閑話休題。

サントラを改めて聞いてみて、他の曲にも、ところどころ、紙に文字を書いてるかのような音が入っているので、 タイプライターの操作音だけでなく、紙に万年筆で文字を書いたときの擦過音も旋律の一部に組み込まれてると見て間違いなさそう。 作品の世界観をがっつり読み込んでないとできない演出だし、作曲家マジぱねぇなって思った。