ふと、『iPhone/Android端末のSoCの性能って、どう変遷しているんだろう』と疑問が湧いたので調べてみた。
最新のSnapdragonが登場するたびに喧しい宣伝がなされるのだけど、実際のところiPhoneに比べてどうなのよ、って疑問がことの発端。
まとめてみた所感
SoCの性能に関して
『最新のSnapdragonの性能は、おおむね、Appleの最新Axx プロセッサの後追い』
という雰囲気*1。
AppleとQualcommの攻防具合
時系列で見ると、今に至るまで、おおむね以下のような展開が繰り広げられている。
- Apple 最新プロセッサAxx 登場
- 少し遅れて Qualcomm 同性能+αのSnapdragon発表
- 約半年後に登場
ミドルレンジのSoCについて
ミドルレンジのスマホって、ハイエンドのものに比べて使いものにならなくなるのが早い印象があったので、調べてみた。
Snapdragonのミドルレンジは、だいたい1~2世代前の性能。1世代前のハイエンドより性能が低いことがザラ。
Antutuスコア比較表
Antutu Ver.7以降のスコアをまとめた。スコアはおおよその値。
SoC | 総合スコア | 3Dスコア |
---|---|---|
Snapdragon 810 | 100,000 | 40,000 |
A9 | 150,000 | 80,000 |
Snapdragon 820 | 160,000 | 65,000 |
Snapdragon 625 | 80,000 | 13,000 |
Snapdragon 630 | 90,000 | 19,000 |
Snapdragon 660 | 140,000 | 30,000 |
A10 | 190,000 | 80,000 |
Snapdragon 835 | 200,000 | 85,000 |
A11 Bionic | 270,000 | 95,000 |
Snapdragon 845 | 270,000 | 110,000 |
Snapdragon 710 | 170,000 | n/a |
A12 Bionic | 340,000 | 140,000 |
Snapdragon 855 | 340,000 | n/a |
Snapdragonの歴史
Snapdragon 810
- 2014年4月7日発表
- プロセスルール 20 nm
- オクタコア
発熱の多さが問題になったプロセッサ。国内では、Xperia Z4の発熱問題が有名か。
Snapdragon 820
- 2015年3月3日発表
- プロセスルール 14 nm LPP*2
- クアッドコア
- ライバル : Apple A9
- 派生品:ミドルレンジ版 625, 630, 660
Snapdragon 835
総合:約20万点, 3D:約8.5万点 (Antutu Ver.7以降)
- 2017年1月3日発表
- プロセスルール 10 nm LPE *3
- CPU: Kryo 280 オクタコア
- 4 x (2.45GHz)
- 4 x (1.9GHz)
- GPU : Adreno 540
- NPU : Hexagon 682
- Hexagon SDK呼び出すことで利用できる
- ライバル : Apple A10
- 派生品:ミドルレンジ版 650 (618), 652 (620)
Snapdragon 845
- 2017年12月5日発表
- プロセスルール 10 nm LPP
- CPU: Kryo 385
- 4 x Cortex-A75(2.8GHz)
- 4 x Cortex-A55 (1.8GHz)
- GPU : Adreno 630
- NPU : Hexagon 685
- 835比で3倍
- ライバル : Apple A11 Bionic
- 派生品:ミドルレンジ Snapdragon 710
Snapdragon 855
- プロセスルール7nm
- CPU: Kryo 480
- 1 x 高性能コア(2.84GHz) PrimeCore
- 3 x パフォーマンスコア(2.42GHz)
- 4 x 省電力コア
- GPU : Adreno 640
- NPU : Hexagon 690
- AI処理用のDSP
- 845比で3倍
- スカラー、ベクトルの処理、テンソル処理を高速化する「Tensor Accelerator」を搭載
- ※ 実際の“AI”演算処理は、Adreno、Kryo、Hexagonの演算ユニットを組み合わせることで実現
- ライバル : Apple A12 Bionic
その他の特徴:
- シングルコア性能が大幅向上
- LTE回線(2.0Gbps)対応 (X24モデム内蔵 )
- 5G回線対応・世界初(X50モデムが必要)
- 60GHz Wi-Fi 802.11 ay対応・世界初(60GHz帯, 最大10Gbps)
Apple Aプロセッサの歴史
Apple A9
- iPhone 6s, SEに採用
Apple A10
- iPhone 7 Plusに採用
Apple A11 Bionic
- iPhone X, 8 Plusに採用
- 10nm FinFET プロセス
- CPU
- 2.39GHz, 6コア (2× Monsoon + 4× Mistral)構成
- 全コアを同時利用可能
- GPU
- Apple自社製 - 3コアGPU
- ニューラルエンジン
- AI演算用のコプロセッサ搭載
- 性能指標 6,000億回/秒
- Core MLライブラリを呼び出すと自動で利用される
Apple A12 Bionic
- iPhone XS, XS Maxに採用
- 世界初7nm FinFETプロセス
- CPU
- 6コア (2×Vortex 2.5GHz + 4×Tempest 1.5GHz)構成
- 全コアを同時利用可能
- GPU
- Apple自社製 - 4コアGPU
- ニューラルエンジン
- 性能指標 50,000億回/秒