- 作者:安野モヨコ
- 発売日: 2013/01/18
- メディア: Kindle版
シン・エヴァンゲリオンの感想をまとめるにあたって、庵野監督のことを知りたくなり購入。庵野監督の奥様から見た庵野監督の日常マンガ。すごくほのぼのしてて良き。
以下、シン・エヴァの話とからめてこの本の感想を。シン・エヴァの重大なネタバレを含みます。
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シン・エヴァが綺麗に完結したのは、奥様の存在が大きいのだろうと思えた。安野モヨコさんは、庵野監督の妻であり恋人であり母でもあるような存在だなぁと。
マリのあだ名の「イスカリオテのマリア」の『マリア』は
「マリア」=「神の子(イエス)の母マリア」、「マグダラのマリア(恋人 or 妻)」
を意味しているという説に合点がいった。
作中、マリが、シンジの心の成長に伴い「母」の立ち位置から徐々に「恋人」の立ち位置へと変わっていったのと符合するし、
また、「マリの立ち位置は、庵野監督における奥様の立ち位置を反映している」という解釈ともよく合っている。
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シン・エヴァの登場人物は、それぞれ庵野監督の1側面を切り出した感が強く*1、『マリだけは庵野監督がシン・エヴァまでタッチしなかった』という話は、聞いた当初ちょっと意味がわからなかったのだけど
シンジ(≒庵野監督自身)を支えるキャラ設定は庵野監督自身では作り出せない、と考えて、意図的にマリを他者に任せることで、『庵野監督の作品の中に、庵野監督以外の世界を組み入れる(庵野監督に対する奥様の立ち位置、に対応したキャラクターを確立する)』ことに成功したのかなと、そんなことを思った。
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マンガのあとがきにあった、庵野監督のコメント*2に
嫁さんのマンガのすごいところは、マンガを現実からの避難場所にしていないとこなんですよ。 (中略) 嫁さんのマンガは、マンガを呼んで現実に還る時に、読者の中にエネルギーが残るようなマンガなんですね。読んでくれた人が内側にこもるんじゃなくて、外側に出て行動したくなる、
という話があって、
シン・エヴァのラストは、まさにこれを視覚的に(映像として)表現したんだろうなと思った。
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いや、ほんと、この漫画は良かった。
読んだことで、奥様の庵野監督に対する愛情の深さが伝わるとともに、庵野監督が奥様をリスペクトしていることがバシバシ伝わってきて、とても幸せな気持ちになれた。
まさに内助の功というか、成功者の影には必ず素敵な奥様がいる、みたいな話だなぁと。
良質な映像作品 シン・エヴァを生み出してくれた2人に最大限の感謝を捧げたい。