- 作者: 三方行成,シライシユウコ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2018/11/21
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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『泣いて馬陵を切る話』に脳天をかち割られたので、著者の新刊を買ってみた。
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ちなみに『泣いて馬陵を切る話』は下記。
https://www.hayakawabooks.com/n/n9a2a234a5d7d
三国志が好きな人ならお馴染みの、諸葛孔明が馬陵を泣く泣く打首にする話が、読み進めるに従い壮大なSFへと変貌していく短編。怪作すぎて読みながら笑いが止まらなかった。鳥肌もの。
三国志とSFとが絶妙に混ざり合う、想像のはるか斜めを行く作品。この作者、やばすぎる。
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それはさておき、トランスヒューマンガンマ線バースト童話集。
日本昔話とSFをミックスした短編集なのだけど、
第1話目(竹取物語)は、サイバーパンクの代名詞、ウィリアム・ギブスンのニューロマンサーを彷彿させる、詳細な説明なしに圧倒的な物量で畳み掛けてくるような勢いがあって楽しめた。
また、SFがちゃんとSFしているというのか、過去のSF作品へのリスペクトと、現代の科学技術に対する的確な理解が感じられて好感。
だったのだけど、若干の変則こそありこそすれ、話が進むに従い、同じようなテンション・同じノリが続くので、やや飽きた。特に、作者の強烈なオリジナリティは、良くもあり悪くもあるという印象。濃いめの味付けは度が過ぎると厳しい。
一応、申し訳程度にラスト最終話では、今までの話がまとまっていくのだけど、無難に軟着陸した感がある。
怪作かと思いきや、佳作という感じ。今後に期待。