2018.1現在入手可能な、写真の現像向き(と思われる)モニタをリストアップした。
リストアップにおける最低条件は下記の通り
- WQHD(2560x1440)以上の解像度
- 10bit出力
- ハードウェアキャリブレーション対応
- WindowsPCで利用可能なもの
一覧表
メーカー | モニタ型番 | サイズ | 解像度 | 価格 [万円] |
AdobeRGB カバー率 |
LUT | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
BenQ | SW2700PT | 27インチ | WQHD | 7 | 99% | 14bit | |
BenQ | SW271 | 27インチ | 4K | 14 | 99% | 14bit | HDR対応 |
BenQ | SW320 | 31.5インチ | 4K | 20 | 99% | 14bit | HDR対応 |
LG | 27UD88 | 27インチ | 4K | 7 | ? | ? | sRGBカバー率99% |
LG | 31MU97 | 31インチ | DCI-4K | 10 | 99.5% | n/a | DCI-P3カバー率97%、4k60Hz接続はDisplayPortのみ |
LG | 32UD99 | 31.5インチ | 4K | 12 | ? | n/a | HDR対応、DCI-P3カバー率95%、FreeSync対応 |
NEC | LCD-PA272W | 27インチ | WQHD | 13 | 99.3% | 16bit | |
ASUS | PA329Q | 32インチ | 4K | 17 | 99.5% | 14bit | DCI-P3カバー率90% |
EIZO | CS2730 | 27インチ | WQHD | 12 | 99% | 16bit | |
EIZO | CG2730 | 27インチ | WQHD | 20 | 99% | 16bit | キャリブレータ内蔵 |
EIZO | CG248-4K | 23.8インチ | 4K | 24 | 99% | 16bit | HDR対応、キャリブレータ内蔵 |
EIZO | CG318-4K | 31.1インチ | DCI-4K | 50 | 99%↑ | 16bit | HDR対応、DCI-P3カバー率98%、キャリブレータ内蔵 |
EIZO | CG3145 | 31.1インチ | DCI-4K | 300 | 99%↑ | 24bit | HDR対応、DCI-P3カバー率99% |
4KモニタはLG 31MU97を除き、HDMI 2.0端子搭載 (DisplayPort接続でのスリープ問題は回避可能)。
用語補足説明
- 画面解像度の略称
- DCI-4K (4096x2160)
- 4K (3840x2160)
- WQHD (2560x1440)
- WUXGA (1920x1200)
- LUT: ルックアップテーブル。
- PCからの入力信号を、液晶パネルでの出力信号に変換する際に用いられるテーブル。bit数が多いほうがより滑らかに出力可能らしい。
- DCI-P3
- 産業(デジタルシネマ)用に定義されている色域。AdobeRGBよりRGが広く、B側が狭い。DCI-P3のカバー率は、(厳密なものとはいえないものの)ディスプレイの色域の広さの目安にはなる。
雑文
SW2700PT は、登場時点から気になっていたのだけど、改めて他機種と比較すると、いい具合にマーケットの隙間を狙っているのだなぁと。
プロの写真家を起用して積極的にPRしていたり、かなり攻めたスペックと価格だなぁと。『ハードウェアキャリブレーション対応のモニタが欲しいのだけど、予算は抑えめで』となるとこれ一択なのではと思わせるスペック。(実物がスペックに見合うものかどうかはしらないのだけど)
ただ、売上データを見ると、思ったほど売れてない雰囲気がなくもなく。
以下、雑な考察。
映像編集を生業としていない一般の人が、一般に配布する写真の現像用途なら、
一般の人が使うスマホ・ディスプレイの表示色のずれ >> モニタのキャリブレーション不足による表示色のずれ
と考えて問題ないはずなので、購入時点のモニタの発色が大幅に狂っていない限りは、モニタのキャリブレーションを厳密に行う必要性は必ずしも高くない、というより厳密に行う実益はないと言っても差し支えないんじゃなかろうかと。
ある程度のレベル*1で色が合ってさえ入れば、4Kモニタの方が実益が大きい気はする。
という予想をしながら調べていたら、同価格帯でsRGBをカバーした4Kモニタ LGの27UD88-Wは結構売れていた。
『一般向けのハードウェアキャリブレーション対応モニタ』というマーケットで先行していたLGの 31MU97の実質的な後継機が存在していない(比較的後継っぽい32UD99がゲーミングディスプレイ寄りになっている)ことも思うと、メーカーの目論見ほどはこのマーケットは大きくなかったのかなぁと思ったりも。
仕事用に用いる道具としては、先発のEIZOと後発メーカーとの価格差がそれほどないし、長年に渡る産業用途での実績と使い心地の良さからEIZO一択になってしまうのも、むべなるかな感がある。
いや、それにしてもハードウェアキャリブレーション対応のモニタって少ないのな…。
ASUSがプロ用を謳う PA329Q はちょっと気になる。
*1:多くのモニタがカバーするsRGBの色域