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3% シーズン1,2


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多くの人は文明が荒廃した都市に住み、20歳になったときに試験を受けそれをパスした少数の選ばれた人だけが「島」(ユートピア)に住むことができる世界。設定の外枠だけで言うと、わりとありがちなディストピアもの。

なのだけど、作品の具体的な設定や登場人物像、複雑な人間ドラマは新鮮な驚きの連続が続くSF作品で、かなり面白かった。(SF作品は小説からドラマ、映画、アニメまで幅広く見ているのだけど、この作品には既視感がまったく感じられなかった!)

特に、この作品において人間ドラマは特筆に値すべきものに感じた。

登場人物たちは、ときに裏切り、ときに信頼しあい、決して単調になることがなく、メインキャラクターに関しては、よくあるステレオタイプな人物像をことごとく打ち壊していて、それでいてとても人間臭い(むしろ、人間臭さを全身で表現しているかのような)ところが最高だった。

どのキャラクターも、人間の良い面も悪い面(醜さや残虐さ、不安定さ、などなど)もひっくるめて描いている感じがとても良い。

人間って完璧じゃないよね。っていう、いや、人間と言うか「若者」という括りのほうが良いかな。まぁいずれにせよ、ジョジョのように、『人間賛美』(人が生き抜く力の美しさを描く感じ)を徹底している感があった。

Netflixのタグで「スカッとする」が付いていて不思議に思ったのだけど、この作品、全体を通して終始雰囲気は重々しく、ヨコオタロウ作品的な重さがある。シーズン2の終わりになってようやく光が見えた、かなぁという感じ。基本的に見続けていると『ドヨーン』というか鬱々としてくる。基本的に都合の良い救いはない。

三者三様の思惑が入り乱れ、物語がどんどんひっくり返っていき、予想もしない方向へと進んでいくさまには唖然とするしかなかった。

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ブラジルのドラマなので、出てくる俳優の知名度がわからないので、登場人物がどんな役なのか(重要な役か否か)という推測が全くできないことに加え、日本やアメリカのドラマでならよくある展開というのも見当たらないので、

極めてニュートラルに、展開に驚きを持って見ることができるのがGOOD。

ポルトガル語なので、字幕を追い続けていないと話がよくわからなくなるのでながら観には向かないものの、注目して見るに値する作品ではあるのでアリ。意外にも見続けていることで、英語と似た発音の単語(ポルトガル語)は少しづつ聴き取れるようになってきた。

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ブラジルの作品ということを思うと、SF作品というよりは社会派・政治的な色合いの濃い作品なのかなぁとも思った。現代社会の分断をSF作品の体で描いたのではなかろうか、と思ってる。ブラジルの経済や政治については知らないので、勝手な想像なのだけど。