今までRyzen 1800Xを使っていたのですが、思い立って Ryzen 3700Xに載せ替えました。第3世代Ryzen、良き。
結論:Ryzen 3700X にしたら明らかに速くなった
どちらのCPUも、8コア16スレッド (8C16T)・基本クロック 3.6GHzで、大きな違いはアーキテクチャ (Ryzen 1800Xは「Zen」, Ryzen 3700Xは「Zen2」)になります。
RyzenはZen2アーキテクチャになって大幅に性能が改良されました。特に、Adobe製品に関係するところでは、SIMD演算ユニットが256bit幅になり、AVX256命令が1サイクルで処理できるようになっています。
期待を胸に、Adobe LightroomのRAWからJPEGへの書き出し速度を計ってみたところ、おおむね1.5倍~2倍速くなりました(!)。また、今まで高画素の写真を編集する際にあった『ちょっとした操作ラグ』(つっかかり感)がなくなって、現像時のストレスが減りました。
電源のリプレースも行ったので換装作業はめんどくさかったのですが、これだけ大きく性能がアップすると、がんばって載せ替えた甲斐があって嬉しい限りです。
AMD Ryzen 7 3700X with Wraith Prism cooler 3.6GHz 8コア / 16スレッド 36MB 65W【国内正規代理店品】 100-100000071BOX
- 発売日: 2019/07/07
- メディア: Personal Computers
比較結果
ふだんの自分のユースケース(4パターン)を模して、実際に過去に現像した写真を使って、書き出し時間を計測してみました。「メニューの書き出しを選択」してから「エクスプローラーの画面が表示される」までの時間を計測しました。
元画像は、a7RIII (4200万画素)のRAWファイルで、書き出し対象のファイルは、現像時に、各種パラメータを調整し、トリミングしたり、ブラシ(コピースタンプ/修復)、グラデーションマスクを利用したりしています。
※ 手作業での計測なので2秒前後の誤差ありだと思います。
Ryzen3700Xに換えて、おおむね1.5~2倍くらい速くなった感じです。
効果は抜群とはいえ、実際のところ、自分にとっては100枚以上書き出すときの処理時間が半分になっても実益はないのですが、(数分以上かかるなら、どのみち、その間は他の事をするため)
ブログ用に数枚書き出すくらいなら数秒で(瞬時に)終わるようになったのはかなり嬉しい感じです。
セレクトからの現像→書き出しまでがノンストレスで行えるので、 写真を書き出していることをほとんど意識せずに、ブログに写真をアップできるようになったのは、ユーザー体験が変わった感じです。
テストパターンについての補足
自分の場合、Googleフォトに1度にアップロードする写真がだいたい100枚前後(休日出かけて写真を撮って帰って、セレクトすると100枚くらい残る感じ)、ブログ1記事や印刷用だと多くて10枚程度なので、それっぽい条件で計測しました。ブログ用には、まとめて現像するときがあるので、100枚前後での処理時間も計測しています。
・・・
ブログ用(※ このブログにアップする写真)は「長辺1200px、画質85、透かしあり」で出力しています。長辺1200pxは、はてなブログ側のデフォルトの上限値(自動的にこのサイズにリサイズされる)に、画質85は、GoogleのWeb最適化ガイドラインの推奨値に合わせています。表中に記載していないのですが、EXIFなどの「メタデータは完全削除」しています。
余談になるのですが、JPEGの画質設定ごとの出力結果の違いは、多くのプログラマの方が定量的に検証されていて、ググると検証記事がたくさん出てきます。結論だけ言うと、85がサイズと画質のバランスが最も良く(85未満はけっこう劣化する)、90を越えると劣化が感じにくい高画質になる、という感じです。ご興味があればググってみてください。
Googleフォト用(※ 家族や知人との写真共有、セレクト済み写真の閲覧目的、兼、第3のバックアップ目的でGoogleフォトを使っています。)は、設定に関してはブログ用とほぼ同様で、違いとしては、サイズのみ「1600万画素」に設定、「メタデータは残す」設定にしています。Googleフォトにオリジナルをアップロードしても自動的にリサイズされるのですが、以前試してみてリサイズの品質が良くなかった(&アップロードに時間がかかりすぎる)ので、手動でリサイズしています。
印刷用(※ A4前後の大きめの紙でのプリント目的)は、カメラ屋でプリントに出しても問題が起きづらいように 「JPEG」 「sRGB空間」で「画質100」*1 、サイズは「原寸」の設定にしています。これだけ、シャープ出力を「光沢紙・標準」に設定しています。
Lightroomの書き出し処理に関する余談
Ryzen 1800X のPrecisionBoostでは、動作クロックは3.9GHzまで上昇していたのですが、Ryzen 3700XのPrecisionBoost2では 4.1GHzまで上昇するようになりました。ベースが3.6GHzなので結構上がる感触です。(Ryzen 3700XはTDPが65Wなので余裕があるのかな)
それはさておき、タスクマネージャーを見ていて気づいたのですが、Lightroomの書き出し処理は、書き出し条件によっては、ところどころでCPUが遊ぶので趣深い感じがします。
CPU以外がボトルネックになるのか、マルチスレッドじゃない処理が挟まってるのか、原因はよくわかりませんが…。
余談:旧型チップセットとRyzen 3000シリーズの組み合わせについて
今回は、もともとRyzen 1800Xを載せていたB350チップセットのM/Bを用いています。(CPUだけ載せ替えた。)
Ryzen3000シリーズに合わせて発売されたX570チップセットと組み合わせる場合に比べて、1~2割遅いらしいです。
電源の話
ある日、朝1でPCが起動しなかったことがあり、四苦八苦しているうちに(部屋が暖まってきたら?)問題なく起動したので、電源が弱ってきた(温度低下で十分な電圧を出力できなくなった)のかなぁと思って、電源容量に余裕をもって評判の良いものを買ったのですが、それ以来、問題なく動くようになったので放置していました。
ねんのため、憂いは立っておかねばと思い、えいや!でこの度交換しました。
今回は、セミプラグインタイプなので使わないケーブルを取り付けないことでケーブルの数を減らし、きっちり全ケーブルを裏側配線したことで、ケース内がスッキリしました。
やったぜ。
*1:ぶっちゃけ90以上にする意味はないと思う